~アクティブ・ミュージアム という企画~
私にとっては、全く経験のない作業、課題を克服する為のコンセプトから展覧会や講座、後援会などの催し物を企画してゆくという作業です。
テーマを決め、そのテーマを分解してサブテーマを見つけ、それを具現化するための具体的なデザインを決めていくといった、これまでの作業とは全く違った作業です。
前ブログでの経緯を得て生まれた「アクティブ・ミュージアム」というコンセプト。
そのコンセプトを具現化させる為の具体的な三つの企画。
一つは、当時出始めていたパーソナル・コンピュータを使った催し物をしよう、と言う案が思い浮かびました。
4ビットのCPUを使ったマイコンキットが発売されたり、オフィスにコンピュータが導入されようとしていた頃でした。
そこで、シャープさんの協力を得て、コンピュータ教室を開く事にしました。
機器は、勿論シャープさんのパソコンを20台程持ち込んでいただいて basic言語の講習会の開催です。
これは、事前に申し込んでもらい、事務所二階の会議室で行ないました。
そして、次はロボットです。
こちらは教材キットの製作・販売会社の協力を得て、模型用モータを動力にした組み立てロボットの実演展示です。
こちらは、催し物会場の一画を使いました。
もう一つの企画が当時流行し出したシンセサイザーなどの電子楽器を使ったコンピュータ・ミュージックと人形劇を組み合わせた内容です。
来館者にも参加して頂くと言う参加型の人形劇でした。
お気づきでしょうか。
そうです。
どの企画も、館のテーマである交通や鉄道とは直接何の関わりもないテーマです。
共通しているテーマはコンピュータです。
各地の博物館もそうですが、まだ私たちの身近にはなっていなかったコンピューターでしたが、これから確実にコンピュータ社会が訪れるという予感と、広く理工系博物館であり、新幹線に代表される様に、交通機関にもますますコンピュータが導入されるだろうと言う観点から、コンピュータを夏の催し物「アクティブ・ミュージアム」で取り上げる事にしました。
ただ、私には一つの確信めいたものがありました。
「観覧者が来たらこちらの勝ち。見せたらこちらのもの」
と言う確信です。
つまり、当科学館に来て頂けたら、その展示品、実物が持つ圧倒的な迫力がきっと来館者の皆様の知的好奇心に火がつき、必ず満足して頂けるだろうと言う意味です。
「モノにものを言わせる」
博物館学を教えておられた国学院大学の樋口教授が当時の新聞のコラムに書かれていた博物館展示の要諦とされていた言葉です。
「アクティブ・ミュージアム」にお越しいただき、展示品の数々に触れ、来館者の皆様がアクティブに、そして学芸員もアクティブに活動している・・・。
そんな思いをのせたコンセプトが「アクティブ・ミュージアム」という言葉に込めたものです。
写真説明/
模型列車運転パノラマ室は、当時の科学館の展示品の中でも一番人気がありました。
一日数回、担当の学芸員が音楽を流しながら照明を変え、車両や鉄道についての解説をします。
私もその解説を担当していた時期がありましたが、当時の上司を補佐しながら、パノラマの設計にも加わり、約6ヶ月間の現場製作を経て完成させた、大変思い出深い展示品でした。
コメントをお書きください