ミュージアムとの出会い その6

のりもの科学教室「ロケット号の工作」  
のりもの科学教室「ロケット号の工作」  

~コンセプトの探求~

 

 次の日から当館でどの様な催し物を、どんなコンセプトで催し物を企画したり開催すれば良いか、と考える日々が続きます。

 

 その頃は、それまで約10年間、展示品や展示コーナーあるいは、展示室全体のレイアウト計画や展示設計など行なう展示業務の担当から、催し物や展覧会等の企画・制作・実施などを担当する教育普及担当に変わり、同時に、これからの科学館全体のあり方にも目を向ける事ができ、視野が広がり、少しは余裕も生まれてきていた時期でした。

 

 

 そこで、展示や展覧会、催し物と言った具体的な内容を考える事はさておき、世間一般の人々が持っている博物館に対するイメージから考えてみました。

 今から35年程前の事です。

 

出てきた答えが「博物館行き」・・・。

これでした。

 

 今でこそ、博物館に対する評価や見方が変わり、博物館とは文化施設や社会教育施設等と言った捉えられ方がされる様になりましたが、当時は、その施設に興味がある人が見に行く施設として考えられ、日常的に利用される事は珍しく、あまりポピュラーな施設とは受け取られていませんでした。

 

 幸い、私が在籍していた施設のテーマが、交通、特に鉄道であり、手で触れたり、動く展示品も多く、また、我が国の類似施設の中では親しみやすいテーマであり、従って、入館者数も多い部類の施設でした。

 

 よし!、「博物館行き」という言葉をキーワードにして何か考えてみよう。

何とか、これまでの博物館のイメージを払拭出来るコンセプトを考えてみよう。

 

そうして生まれたコンセプトが「アクティブ・ミュージアム」と言う言葉でした。

 

 外部の方々から見れば、毎日同じ表情に見える博物館ですが、実は、その内側では、学芸員が日々活動をしているのです。

 

 資料の収集・整理・保存から、調査・研究。

あるいは、私の様に展示や教育普及活動など、日々新しい情報が生まれ、内部ではアクティブに動いていると言うのが実態です。

 

「アクティブ・ミュージアム」

 

 このコンセプトは、活発に動いている私達学芸員の活動を見てほしい、日々、情報が生み出されているアクティブに動いているミュージアムの姿を知ってほしい・・・。

博物館とは、本来的に「ハコモノ=入れ物」ではない・・・。

 

 そういう私たち学芸員の思いを来館者の皆様に伝えるのがまず第一だろう、かんがえて生まれた、私なりのミュージアムをプレゼンテーションする為のコンセプトでした。

 

写真説明/

館内で行なっていた小・中学生向けのワークショップの一コマ。ロケット号のペーパーモデルを工作している所。動力は模型用モーターを使用した。春休みや夏休みは、この種の動く模型の工作を企画し、設計から材料の準備、講師なども行なっていた。子ども達のキラキラとした瞳を見ていると、それまでの疲れも吹っ飛ぶような楽しいひとときでした。